Q&A / Frequently Asked Questions
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3.12 製造用水配管でいわれる配管デッドレグとはどういう意味でしょうか
A:
製薬用水配管においては、微生物の増殖を避けるために通常常時流水がある状態をつくります。その製薬用水配管を分岐させるところなどで流水せずに溜りとなる箇所のことを配管デッドレグと呼びます。 この配管デッドレグについては、主管の中心からの距離を枝管の径に対して6倍以下を許容するFDAの基準や、1.5倍までを許容するWHO GMPなどの基準があります。
回答:---
3.11 第16改正日本薬局方で精製水の規格が変わったと聞いたのですが、主な変更点はどのような内容でしょうか
A:
精製水については、各製造所で製造して使用される水と、容器入りで市場に流通するものとは管理が異なることがわかり、精製水と精製水(容器入り)として別条項で整備されました。また精製水の品質管理基準について、有機体炭素(TOC)の処置基準値が0.5mg/L以下として記載されました。
回答:---
3.10 医薬品製造における無菌製剤製造設備とは、どのような基準を満たした設備なのでしょうか
A:
無菌製剤のための製造設備に関する規定は、国内においては「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」や「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」に記載があります。また、FDA Guidance for Industry “Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processing”や”Questions and Answers on Current Good Manufacturing Practices (CGMP) for Drugs”に参考となる情報があります。また、EU-GMPやPIC/Sの Annex 1 “Manufacture of sterile medicinal products”などが参考になります。
いずれの指針やGuidanceにおいても、無菌医薬品の製造は、構造設備の基準だけでなく、製造管理、環境管理、原材料の管理等についても記載されており、無菌性はこれらを総合的に遵守することにより保証されます。
回答:---
3.9 バイオ医薬品の製造設備を検討する際に重要な方法として「シミュレーション」があると聞きましたが、どのような方法なのでしょうか
A:
バイオ医薬品の中核製造設備は培養槽であり、生産性向上を目的とした培養槽のスケールアップにおいては、様々な検討が必要になります。
特に、動物細胞培養のスケールアップにおいては、微生物培養とは異なり、多くの環境因子の影響を受けることから、運転の条件を最適化して培養可能範囲を広げる必要があります。
従って、培養槽の最適設計においては、種々の環境パラメーターについて検討する必要がありますが、すべてを実験で検討する為には、時間とコストの問題があるので、最近では、シミュレーション『CFD(Computational Fluid Dynamics)』と実験を併用して最適化を行うことが一般的となっています。
CFDとは、乱流解析モデルを利用した解析技術のことですが、メッシュや境界条件の設定により、計算精度に大きく影響する技術でもあります。
なお、動物細胞培養における環境因子の一例を挙げると、基質濃度分布、溶存酸素分布、溶存二酸化炭素分布、温度分布、剪断応力などを挙げることが出来ます。
回答:---
3.8 "封じ込め"という言葉がありますが、具体的には何をどうする事なのでしょうか。また、その目的はなんでしょうか
A:
封じ込めとは、高薬理活性を有する物質などを取り扱う場合に、当該物質の飛散による人(製造作業者)の健康被害や環境汚染などを防止するために対策を講じることをいいます。
封じ込め対応の具体的な対応としては、ドラフトチャンバー、アイソレータなどの封じ込め設備の採用による一次的な封じ込め、建築的な区画やHVAC(空調設備)の対策による外部環境への飛散対策をおこなう二次的な封じ込めがあります。
回答:---
3.7 封じ込めの管理レベルは、どのようにして決められるのでしょうか
A:
産業衛生上の許容限界としてOEL(Occupational Exposure Limits:職業曝露限界)値を基準とすることが近年の医薬業界で一般的です。OELとは、作業員が1日当り8時間(40時間/週)対象物質が飛散する雰囲気で一般的な労働を行って、その労働をたとえ一生涯続けたとしても、健康に対する悪影響が予想されない曝露濃度のことで、下式で求められます。

OEL(mg/m3)=NOAEL × BW / V × MF × S × α
    NOAEL:無毒性量(mg/kg/day)
    BW:平均体重(kg)
    V:吸気量(10m3)
    MF:修正係数
    S:定常時の調整係数
    α:吸収補正係数(1/F)
回答:国際委員会
3.6 これまで医療用具のなどの滅菌には、エチレンオキサイドガスが使用されていたと思いますが、これが使用できなくなったと聞きます。これはなぜですか?代わりの方法として、どのような方法があるのでしょうか
A:
これまで医療器具などの滅菌方法として、その簡便さ(浸透性、低温での効果など)からエチレンオキサイドガス(EOG)が使用されてきました。しかし、EOGの残留性の問題やEOG自体の発ガン性の問題などから、1971年米国では使用が禁止されました。一方、我が国においても2001年5月から労働安全衛生法の作業環境評価基準としてEOG濃度を1ppm以下とする規制が適用されています。このような状況からEOG滅菌は使用されなくなり、代わって過酸化水素蒸気滅菌が使用されるようになってきました。過酸化水素の場合、分解により水となることから安全性の面からも注目されていますが、その残留性に注意する必要があります。過酸化水素蒸気滅菌の他には、従来から行われている高圧蒸気滅菌や放射線滅菌(Co60などから出るγ線を利用する)の他、近年では電子線滅菌やマイクロ波滅菌なども検討されるようになってきました。
回答:国際委員会
3.5 無菌製剤で、且つケミカルハザード医薬品を製造する時、製造室の気圧管理はどのように考えたらよいでしょうか
A:
平成17年度厚生労働科学研究「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」があります。附属資料A4の中で、

A4.1 ハザード管理レベルの分類
A4.3 ケミカルハザード対応設備の要件
  1. レベル3の製品を扱う施設は閉鎖設備(バリア設備又はアイソレータ設備)であること。
  2. レベル4の製品を扱う施設は閉鎖設備でなければならない。
  3. レベル5の製品を扱う場合を除き、アイソレータ設備では内部を陽圧に管理することができる。
とあります。
無菌を保障するアイソレータ等の閉鎖設備となり、閉鎖設備内は陽圧です。閉鎖設備設置の周囲の製造環境はハザードの内容によって異なりますがクリーンルーム自体を陰圧に設定する場合があります。
回答:国際委員会
3.4 いろいろな団体や国でクリーンルームの基準を発表していますが、医薬品を製造する場合、どの基準が一般的なのでしょうか
A:
クリーンルームの基準は以下の無菌医薬品の公的ガイドで示されています。
非無菌の医薬品については明示されていませんので無菌医薬品の値を
準用しています。

(1) 日本薬局方参考情報(第15改正2006.4)
(2 )Guidance for Industry Sterile Drug Products by Aseptic Processing
Current Good Manufacturing Practice (FDA 2004.9)
(3 ) 米国薬局方(USP30)
(4) EU−GMP Annex1 Manufacture of Sterile Medicinal Products
(2004.9)(2005.9.21改定案提示)

クリーンルームの基準は上記(1)〜(3)で概ね共通ですが、米国では非稼働時の塵埃数について値が示されていない点が日本やEUと大きく異なるところです。
どの基準が一般的か、という点ですが製造する製品の重要度(無菌、非無菌等やリスクに応じて適切に基準を選択することとなります
回答:国際委員会
3.3 ケミカルハザード、バイオハザードとよく言いますが、具体的な定義や公的な管理基準といったものはあるのでしょうか
A:
1.ケミカルハザードについて
一般的には「化学物質の毒性によってもたらされる人体に対する危険性・有害性」と定義されます。日本においては医薬品製造設備に関してケミカルハザードの公的な管理基準はありません。 海外においては対象とするケミカルハザード物質は企業自身が決定することとされています。レベルとレベルに対応する設備基準を含めた自主管理基準を定めている企業もあります。要は取り扱い物質に関して、安全面から作業者と環境に及ぼす影響を評価し、安全を確保出来るレベルに封じ込める施設を構築し維持することが企業責任として求められています。米国においては事業者、労働者、安全衛生に携わるスタッフや専門家たちが危険な作業や有害物質などのリスクを低減し安全衛生管理が行えるように情報を簡潔にまとめた公的ガイド「NIOSH ALERT」が国立労働衛生研究所(National Institute for OccupationalSafety and Health)より出ています。

2.バイオハザードについて
一般的には「微生物または微生物由来の毒性によってもたらされる、人体あるいは生物に対する危険性と障害」と定義されます。
医薬品製造に関するバイオハザードの管理基準は次の2つに分けられます。

(1)遺伝子組換え生物等を利用した医薬品製造設備に関する基準
国際会議において“生物多様性条約「バイオセーフテイーに関する
カルタヘナ議定書」“が平成12年1月に採択されました。
日本国内においては必要な国内措置を定めた「遺伝子組換え生物等の
使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」が平成15
6月18日に公布され、翌平成16年2月19日から施行されています。同法
に基づき次の通達が厚生労働省から公布されています。

1.「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の
確保に関する法律の施行について」
(薬食発第0219008号平成16年2月19日)
2.「遺伝子組換え微生物の使用等による医薬品製造における
拡散防止措置等について」
(薬食発第029011号平成16年2月19日)
なお対象設備の査察は独立行政法人医薬品医療機器総合機構が行いま
す。米国おいてはカルタヘナ議定書を批准しておりませんがFDAの
「Biotechnology inspectionguide reference material and training aid」に
医薬品製造設備におけるレベル分類とレベルに対応する設備基準が
示されています。


(2)病原体取り扱いに関する基準
日本国内においては国立感染症研究所病原体等安全管理規定にレベル
分類とレベルに対応する設備基準が示されています。米国においては米国
疾病対策予防センターより
「Biosafety in Microbiological and Biomedical Laboratories (BMBL) 4th
Edition」にレベル分類とレベルに対応する設備基準が示されています。
回答:国際委員会
3.2 Commissioningを解りやすく説明してください
A:
Commissioningは“ISPE Baseline Pharmaceutical Engineering Guide”Vol.5、Commissioning and Qualificationの中で詳しい説明がされておりますので参照ください。
2005年4月に開催された「第4回ISPE日本本部2005年・年次大会」にて武田薬品工業・星野氏が講演の中で説明されていますのでご紹介します。

Commissioningとは

・周到に計画されて、文書化され、かつ管理されたエンジニアリングの手法で、装置・システム・機器の試運転やエンドユーザへの引渡しのための手法である。

・安全や機能界境において制定されている設計要求や法的期待に合っているのかを確認することを指す。

・GMP上ではなく、契約に対する試運転・引渡しと考える。
回答:国際委員会
3.1 ISPEが出しているBaselineガイドとは何ですか?
A:
ISPEが出版しているベースラインガイドは、正式にはISPE Baseline Pharmaceutical Engineering Guideといい、複雑でダイナミックに動く医薬および関連設備の設計、運用に対し、具体的で現実に対応した考えを提供しているものである。これらのガイドは欧米の製薬業界のプロフェッショナルが共同で執筆しており、日本のISPEからも多くのコメントが出され、内容に反映されている。 更に一部のガイドはFDAと共同で作成され、他もFDAのレビューを受けて出版されており、高い評価を受けているものである。
現在の出版、作成状況は以下のとおりである。

設備ごとのテーマ:

1) 原薬製造設備
(Bulk Pharmaceutical Chemicals)1996年6月出版、現在改訂中

2) 固形製剤設備
(Oral Solid Dosage Forms)1998年2月出版

3) 無菌製剤設備
(Sterile Manufacturing Facilities)1999年1月出版、現在改訂中

4) バイオ医薬品設備
(Biopharmaceutical Manufacturing Facilities)2004年8月出版

5) 研究所
(Laboratories)現在作成中

共通テーマ:

1) 水および蒸気システム
(Water and Steam System)2001年1月出版

2) コミッショニングおよび適格性評価
(Commissioning and Qualification)2001年3月出版

3) 包装、ラベルおよび倉庫の運用
(Packaging, Labeling and Warehousing Operations)現在作成中

4) メンテナンス
(Maintenance)現在作成中

なお、上記のうち何点かはISPE日本本部で和訳版の出版を計画中とのこと。

詳しい情報、購入方法に関しては、ISPEのホームページ(www.ispe.org)のPublicationの項にアクセスしてください。
回答:国際委員会
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