Q&A / Frequently Asked Questions
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1.20 GMP(Good Manufacturing Practice)は、「医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準」と訳されるが、訳中の「品質管理」という単語は、GMPの中に含まれていないように思うが、なぜそのような訳になったのか
A:
GMP(Good Manufacturing Practice)は、1960年代に米国軍用規格(MIL-Q-9858A)をベースに誕生し、1980年代に日本に導入されましたが、当初は「医薬品製造規則」などと訳される場合もあったようです。しかし英文で「manufacturing」という単語には、品質管理や試験など、製品を製造する際に係わる全ての要素が含まれており、単に製品を造り出す(「production」)こととは明確に使い分けられています。GMPの概念は、医薬品の品質を保証するために、原材料の受入から製造、包装、試験、出荷までの全工程にわたる管理の基準を示したものであり、このことからも、GPP(Good Production Practice)ではなくGMPであること、またGMPの訳が「医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準」であることは適切であると言えます。
 (参考:榊原 敏行「図解で学ぶGMP -Q7A(原薬GMPガイドライン)を中心として-」(株式会社じほう))
回答:---
1.19 ヒトを対象としていない動物用医薬品の開発や臨床、申請も、通常のヒト用医薬品と同様のレギュレーションが適用されるのか
A:
動物用医薬品についても、ヒト用の医薬品・医薬部外品及び医療機器と同様に薬事法によって規制されています。薬事法 第10章 第83条において、各条文について医薬品と動物用医薬品の読み替えが規定されていますが、対象動物への使用の規制など、いくつかの動物用医薬品のみに適用される条文もあり、使用される畜水産物を食する場合の人に対する安全性や残留性についての評価も重要になります。
 動物用医薬品の申請に必要な安定性試験や毒性試験、臨床試験等の資料はGLP 省令及びGCP 省令に基づくこと、承認後の製造に関してはGMP省令に基づくことなど、その開発の流れにおいては、医薬品と同様のGxPが適用されます。なお、動物用医薬品の申請・承認・製造販売については、厚生労働省ではなく農林水産省が所管となります。
 (参考:公益社団法人 日本動物用医薬品協会ウェブサイト (http://jvpa.jp/jvpa/))
回答:---
1.18 医薬品の製造はGMPに従って行われますが、添加剤や甘味剤又は香料の製造にもGMPのような基準があるのでしょうか
A:
医薬品添加剤(甘味剤や香料を含む)に対しましては、日本薬局方収載品以外には法的なGMP規定がありません。また、日本薬局方収載品におきましてもハードに関しての法規制はありますが、ソフトに関してはほとんどの製品がGMP対象外となっております。医薬品添加剤の品質確保に関しましては、日本医薬品添加剤協会が中心となり、医薬品添加剤GMP自主基準が策定され、自主規制としてガイドライン化しております。
回答:---
1.17 エンドトキシンを効果的に取り除く方法を教えてください
A:
エンドトキシン(細胞内毒素)は、グラム陰性菌の細胞外膜から放出される発熱性物質であり、日局16では水性注射剤では皮内、皮下及び筋肉内投与のみに用いるものを除き、エンドトキシン試験法に適合し、製剤中のエンドトキシン量が発熱惹起量未満であることを確認する必要があります。
エンドトキシンの除去方法としては、限外ろ過膜、逆浸透膜等によるろ過、蒸留による除去、電荷修飾媒体による除去、活性炭などによる吸着除去、酸や塩基による不活化、熱(乾熱あるいは湿熱)による不活化など様々な方法が報告されています1)
エンドトキシンの分子量は約10,000〜20,000と言われ、分画分子量約10,000以下の限外ろ過膜や限外ろ過膜の孔径よりもさらに小さい孔径である逆浸透膜でエンドトキシンを除去することができます。また、これらのろ過と蒸留を組合せ、水中のエンドトキシンを除去し、注射用水の製造に用いられることがあります。
また、ガラス容器などの場合、乾熱によるエンドトキシンの不活化を行なうことができます。一般に250℃で30分以上の加熱により失活する2)ため、注射剤の容器に使用するガラス容器(アンプルやバイアル)は、バッチ式あるいは連続式(トンネル式)の乾熱滅菌機により脱パイロジェンを行ないます3)
また、ゴム栓などのようにガラス容器ほど耐熱性を持たない材質の場合、ゴム栓の製造工程において強アルカリ性下で洗浄することで失活させたり、注射剤の製造に用いる前に注射用水などのエンドトキシン不含の水で洗浄したり、高圧蒸気滅菌を行なうなどの工程を組み合わせて、エンドトキシンを除去します。
なお、いずれの除去方法においても、目標とするエンドトキシンレベル以下にエンドトキシンを恒常的に除去できることを、バリデーションにより検証しておくことは言うまでもありません。

1) PDAバリデーションレポートNo.2 水のシステムと脱パイロジェン,日本PDA (平成7年) 株式会社 薬業時報社
2) Welch, H., Price, C, W., Chandler, V. L., and Houter, A. C., J. Am. Pharm. Assoc., 34, 114 (1945)
3) 第十六改正日本薬局方解説書 参考情報「最終滅菌法及び滅菌指標体」注8,東京廣川書店(2011年)
回答:---
1.16 異物が原料に入っていた場合、それを篩などで取り除くことができれば、その添加剤を使用できると考えてよいでしょうか
A:
医薬品製造において、使用する原料に含まれる異物(foreign matter)は大きな問題となります。この異物とは、"本来その原料に入っていてはいけないもの"である事を理解しておく必要があります。この定義から考えますと、異物除去は、その原料や添加剤使用の前提となります。もし、原料にサイズの大きな異物が混入していた場合、目の細かい篩などを通す事により除去可能ですが、たとえそうした作業を実施したとしても完全に除去したことを証明することは極めて難しいといわざるを得ません。例えば、篩過の最中に壊れて細かくなり篩を通過する可能性もあります。その為に、単に除去の可能性だけではなく、異物の同定や安全性などへの影響を十分に考慮した上で、最終的に問題としている原料を使用するかどうかの判断が必要となります。
こうした異物の問題を避けるためにも、使用を開始する前に原料製造施設の査察などを実施し、品質上問題ない原料が製造され、品質管理が適切に行なわれている事を十分確認することが求められます。
回答:---
1.15 記載整備という言葉を聞きますが、どのようなことなのか教えてください
A:
平成14年に薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(改正薬事法)が施行され、これに伴い、承認申請書の記載内容が変更されました。そのため、旧法下で承認されている品目又は旧法下で申請した品目については、改正薬事法下で求められる承認申請書内容に書き換える必要が発生し、この改正薬事法下で求められる承認書記載事項に適合するように承認書記載事項を整備することを、「記載整備」といいます。

平成16年7月9日付薬食発第0709004号医薬食品局長通知「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律等の施行について」が発出され、製造所に関連する情報や、旧法下では原薬の承認事項とされてきた原薬に関する情報※を新たに製剤の承認申請書に記載する事項とされました。さらに、薬食審査発第0210001号(平成17年2月10日)「改正薬事法に基づく医薬品等の製造販売承認申請書記載事項に関する指針について」では、製造方法欄の製造場所及び製造方法の記載にあたっては、あらかじめ製造方法の変更時における承認事項一部変更承認申請の対象事項と改正薬事法第14条第10項に規定する承認事項の軽微変更に係る届出(以下「軽微変更届出」という。)の対象事項を申請者自らが区別し、設定しておくこととされ、また、製剤の製造方法についても品質の恒常性確保に必要な事項を適切に選択し、操作条件を明記したり、品質に重大な影響を与える原材料の規格及び試験方法や中間製品の規格及び概略の試験方法を記載したりする必要があります。そして、この指針では、平成17年4月1日以降に申請する品目については、改正薬事法に基づき申請することとなりましたが、平成17年3月31日までに旧法に基づく承認を取得している又は承認申請が行われた品目については、承認書記載事項は旧法下で申請又は承認されているため、改正薬事法下で製剤の承認ごとに製造販売承認に求められる承認書記載事項に適合するよう製造販売業者が承認書記載事項の整備に係る届出を行うこととなりました。この届け出を「承認書記載整備届出」といい、届出にしたがって承認書記載内容を書き換えることを通常「記載整備」といいます。

※:原薬等登録原簿を利用した医薬品にあっては、承認申請書記載事項について、原薬等登録原簿の登録事項
回答:---
1.14 洗浄バリデーションでは、ダーティホールドタイムやクリーンホールドタイムを設定する必要があると聞きますが、どのようにして決めたらよいでしょうか
A:
洗浄バリデーションは、交差汚染を防ぐ観点から多品目製造ラインではきわめて重要な事項となっています。そのためFDAを始めとする行政当局による査察では、必ず質問されデータの確認が行われます。この査察の中でも、ダーティホールドタイム(DHT)とクリーンホールルドタイム(CHT)については、しっかりとした考え方とデータを取得しておく(特に、前者)事が必要となります。
DHTとCHTの決め方については、洗浄バリデーションをどのように実施するか(例えば、ワーストケースか、すべての製品で行なうかなど)により決まりますので、ここでは、単なる1つの案として考えて頂きたいと思います。
DHT:製造を終了した後、一定の期間装置を放置し、その後予め定められた洗浄手順で洗浄を行い、その結果をもってDHTを設定することになります。この放置期間は、製造現場からはできるだけ長い期間とする方が好ましいと考えられますが、バリデーションのため3ロット実施する必要があり、生産計画との兼ね合いなどを考慮して決める必要があります。なお、DHTは週末の放置を考慮し、最短でも3日程度は必要でしょう。
CHT:洗浄が終了した装置を放置し、洗浄なしで次に使用するまでの期間をCHTと呼びます。使用頻度の多い装置は、CHTが2〜3日程度でも問題ないと思いますが、1ヶ月に一度しか使用しない装置など、使用前に必ず洗浄するのであれば別ですが、そうでない場合などデータに基づいてCHTを設定する事が必要となります。これは、バリデーションとして実施すると言うよりも設定のための根拠データとして取得しておくことで対応可能だと考えられます。CHTの根拠データですが、回答者のところでは、ワーストケース(汚れやすい場所、材質、形状など複数の条件下)でテストピースを一定期間放置した後、表面状態、微粒子の存在、微生物などについて評価し、そのデータを根拠としてCHTを設定しています。この他にも、実際の装置を使用して設定する事も可能であり、各社でしっかりとした考え方を持って実施する必要があるでしょう。
回答:---
1.13 デザインスペースが設定された場合、製造承認申請書の製造法欄はどのように記載することになるのでしょうか。また、軽微変更との関係はどうなるのでしょうか
A:
平成20年度厚生労働科学研究「医薬品製造開発・承認審査の迅速かつ効率的なプロセス構築に関する研究 重要工程におけるデザインスペースの設定及びControl StrategyとしてのReal Time Release等の研究」の研究成果であるモックアップ(サクラ錠)において品質に関する概括資料と対応する製剤製造方法、規格及び試験方法欄の記載例が公開されているので参照されたい。
サクラ錠の例では、原薬粒子径、滑沢剤比表面積、滑沢剤混合時間及び打錠圧が溶出性に及ぼす影響を多次元的解析により評価し、「最も影響度の大きい原薬粒子径をコントロールすれば、滑沢剤比表面積、滑沢剤混合時間及び打錠圧について、溶出性を確保できる範囲が特定できる」としている。従って製造方法欄には「第二混合時間は軽微としての範囲、打錠圧については範囲」としてそれぞれ記載している。
またサクラ錠では「製剤均一性をRTRTとして第一混合における混合均一性及び打錠工程における錠剤質量の管理により達成できる」としていることから、「第一混合工程の混合終点は時間記載ではなく、NIR法における相対標準偏差を工程管理として規定」している。
また定量についてもRTRTの適用を認め、「第一混合工程における混合末中の主薬含量を工程管理としてHPLC法で測定し、工程管理値を設定」している。
回答:---
1.12 洗浄における許容残留性は、どのようにして決めたらよいのでしょうか
A:
残留許容基準の設定方法は、NOAEL(No Observed Adverse Effect Level:無毒性量)からの許容基準、NOEL(No Observed Effect Level:無作用量)からの許容基準、0.1 %基準(次製品の1日最大投与量中への混入量は、前製品の1日最小投与量の0.1 %以下であること)、10 ppm基準(次製品への混入量は10 ppm以下であること)、目視確認(目視で残留物が認められないこと)が提案されていますが、公的な基準といったものはありません。FDAが承認し、ISPE(国際製薬技術協会)が出版しているベースラインガイドRisk MaPP(Risk Based Manufacture of Pharmaceutical Product)では、NOAELからADE(Acceptable Daily Exposure:1日曝露許容量) 値を計算し、残留許容基準値を求めることが科学的根拠に基づいているとして推奨されています。

ADE(mg/day)=NOAEL × BW / Ufc × MF

NOAEL:無毒性量(mg/kg/day)
BW:平均体重(kg)
Ufc:不確実係数
MF:修正係数
回答:GMP委員会
1.11 洗浄の残留基準は、どのようにして決められるのでしょうか
また、当局が認めた基準値というものはあるのでしょうか
A:
洗浄の残留基準について、公的な基準といわれるものは存在していません。製剤機械技術研究会では、2000年に固形製剤工場を対象に洗浄に関するアンケート調査を行っています。この中に、「残留許容基準の設定根拠」や「残留許容基準の決め方」などの質問事項があります。この結果をみますと、設定根拠としてはイーライリリー社の研究者が発表した論文1)を根拠とするものが多く、決め方としては (1) 1日の最大投与量に対して全製品主薬の最小投与量の1/1000以下、(2) 1バッチ処理量に対して前製品の主薬含有量の10ppm以下、などが選択されていました。詳細は、製剤機械技術研究会の会誌(Vol 9(4)、15-21(2000))や関連する資料2−5)を参照してください。

1) Fourman,G.L. and Mullen,M.V., Determining Cleaning Validation Acceptance Limits for Pharmaceutical Manufacturing Operations, Pharmaceutical Technology 17(4), 54-60(1993)
2) 静岡県製薬協会(平成12年3月)、バリデーション基準運用ガイドライン(バリデーションを実施するために)
3) 神奈川県製薬協会(平成12年3月)、洗浄バリデーションの手引き−解説と事例−
4) K. Horn 第13回技術講演会(2000)資料、固形製剤工場における洗浄バリデーション
5) A. Wachter 第2回パウレック技術講演会、洗浄バリデーションに関してよく質問される20項目
回答:国際委員会
1.10 「適格性評価に関するQ&A」について
A:
・「適格性評価に関するQ&A」について(その1)
内服固形製剤設備の適格性評価の実際―パンコーティング設備の例 ―を中心として
→詳細はこちら(PDF形式/421KB)

・「適格性評価に関するQ&A」について(その2)
  内服固形製剤設備の適格性評価の実際―パンコーティング設備の例 ―を中心として
→詳細はこちら(PDF形式/308KB)

・「適格性評価に関するQ&A」について(その3)
  内服固形製剤設備の適格性評価の実際―パンコーティング設備の例 ―を中心として
→詳細はこちら(PDF形式/1.3MB)
回答:国際委員会
1.9 製剤工場では、汚染防止の手段の1つとして室間差圧が設けられています
ガイダンスに出てくる数値というのは、何が根拠となっているのでしょうか
A:
CGMPでは室間差圧の根拠についての記載はありませんが「Guidance for Industry/ Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processing」IV BUILDING AND FACILITIESDAir Filtrationに“For example, a positive pressure differential of at least 10-15 Pascals(Pa)should be maintained between adjacent rooms of differing classification(with door closed).”とあります。また EU−GMPでは“Adjacent rooms of different grads should have a pressure differential of 10-15 pascals (guidance values). The various recommendations regarding air suppliesand pressure differentials may need to be modified where it becomes necessary to contain some materials, e.g.pathogenic,high toxic, radioactive or live viral or bacterial materials orproducts.”とあります。ガイドにある差圧があれば逆流はしないものと考えられます。また差圧が高すぎると部屋の扉の開閉が困難となる弊害が発生するため、この数値は実用レベルで決められた数値と考えられます。なお参考までに、室間差圧を調整するためのリリーフダンパーの調整可能差圧は3−5Paであるため安定した室間差圧の制御をするためにはこれ以上の差圧があれば良いと考えられます。
回答:国際委員会
1.8 濾過滅菌を行う場合、バクテリアチャレンジ試験でLRV<7が求められていますが、この7という数値の根拠は何でしょうか
A:
CGMPではこのチャレンジ菌数の根拠についての記載はありませんが、「Guidance for Industry/ Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processing」IX VALIDATION OF AEPTIC PROCESSING AND STERILIZATION BFiltration Efficacy に“A challenge concentratison of at least 107 organisms per cm2 of effective filtration area should generally be used, resulting in no passage of the challenge microorganism.”とあります。
回答:国際委員会
1.7 Re-working とRe-processingという言葉がありますが、どう違うのでしょうか
A:
Re-working は、「再処理」、Re-processingは、「再加工」と訳されます。「再加工」とは、“品質不適格の製品バッチの全部または一部をある製造の段階に戻し、一工程ないしそれ以上追加作業を加えて品質が合格となるように行なう再作業”です。もちろん、これは認められますが、実施するためには、あらかじめ手順書にそうした記載を行う必要があります。一方、「再処理」は、通常の工程に記載されていない処理を行うもので、GMP上では認められていません。
なお、(株)じほう、ファームテクジャパンの付録として出されております「ICH・GMP 医薬用語手帳2005」の中では、下記のように説明されています。

再加工(Reprocessing):基準又は規格に適合しないものを含め、中間体・原薬を工程に戻し、設定された生産工程の一部である結晶化段階もしくはその他の適切な化学的又は物理的操作段階(例えば蒸留、ろ過、クロマト分離、粉砕等)を繰り返すこと。工程内管理試験により反応が不完全であることが示された場合、その後、当該工程を継続することは、通常の工程の一部と考え、再加工とは考えない。(原薬GMPガイドライン)

再処理(Reworking):ICHの原薬GMPガイドでは、標準値や規格に適合しない中間体又は原薬について、その品質を適切なものにするため、設定された製造工程とは異なる処理(例えば、異なる溶媒による再結晶)を行うことをいう。
回答:国際委員会
1.6 ISOにおける品質保証とCGMPとは、どこが違うのでしょうか
A:
基本的にISO9001:2000は品質マネジメントシステムに対する自主的な基準であり、それに従わなくても罰則はありません。それに対してcGMPを含むGMPは、医薬品医療器具等の製造における製品の品質保証のための法律的な要求事項になります。
ここで、医薬品製造については、直接ISOとGMPは結びついていません。経営者の責任を製造業者の責任、文書の作成、記録の保存など項目ごとに対比することは可能ですが、基本的な考え方としてISO9001は医薬品及び医療機器等(これに特定されないが)の製造販売後の品質保証システムを含む広い範囲を包含する概念であり、その製造に関する具体的な要求事項は記載されていません。
これに対してGMPは医薬品及び医療機器等の製造に関わる品質システムの要求事項と考えるべきで、製造に対する品質システム構築のための具体的な規制事項が記載されています。医薬品製造業で医薬品GMPを実施している上に、ISO9001の認証をとることは会社としての品質マネジメントシステムを構築し顧客に対してより良い品質を提供することでは意味がありますが、法規制とは別の話になります。
回答:国際委員会
1.5 洗浄に関して、何か公に(国際的に)認められた残留基準といったものがあるのでしょうか
A:
残念ながら、公に認められた基準はありません。製剤機械技術研究会が、内服固形製剤工場を対象に2000年に行なったアンケート結果*1では、Eli Lilly社の研究者が報告した*23つの基準を採用している場合が多い(全回答の61%、2番目は自社独自基準19%)との結果になっています。詳細は、当会の会誌、9(4)、15・31(2000)を参照してください。
回答:GMP委員会
1.4 米国ではいろいろな工程が委託可能であると聞きますが、無菌充填工程のみの委託も可能でしょうか
A:
委託は可能です。現実に、充填工程を専門に受託している会社があります。
回答:GMP委員会
1.3 バリデーションは3ロットで行われますが、この3ロットに何か科学的な意味があるのでしょうか
A:
科学的(統計的)には、3ロットに意味があるとはいえません。バリデーション基準関係を見ますと実生産規模での確認のためのバリデーションは3ロットとありますが、回顧的バリデーションとなりますと "統計的に解析する" に意味のある数ということで、具体的な数値は出ていません(WHOのガイドでは10ロット以上、"実践的なバリデーション工程管理"(吉武一著、シーエムシー)では細粒剤の例として50ロット以上が統計的に有利といっています。)。また、この3ロットに関しては、PDAフォーラムでもいろいろな意見が出ています。PDAの了解を得てその議論を掲載します。

PDAフォーラム関連資料はこちら>>(PDFファイル/23KB)
回答:GMP委員会
1.2 バリデーションとQualification(適格性評価)とはどう違うのでしょうか
A:
ICH(日・米・EU医薬品規制調和国際会議)で合意し、2001年に3極の当局から公布された「原薬GMPのガイドライン」のなかで、両者について明確に規定されています。
すなわち、バリデーションはソフトとハードの両方を含み、ハードに関するバリデーションはQualification (適格性評価)を行うことであるとしています。
この適格性評価は、DQ(設計時適格性評価)、IQ(設備据付時適格性評価)、OQ(運転時適格性評価)、PQ(性能適格性評価)から構成されます。
日本のバリデーション基準では、DQについて明確ではありませんでした。
しかし、「原薬GMPのガイドライン」の適格性評価の規定は抽象的ですので、具体的な解釈とその事例が求められています。そこで製機研GMP委員会は、日本製薬団体連合会(日薬連)GMP委員会からのアドバイスを得ながら、適格性評価の具体的な解釈と事例について研究し、「内服固形製剤設備の適格性評価の実際_コーティング設備の例_」としてまとめ、2003年10月に刊行しました。この刊行物の内容についてグループ討論を行うことを中心として、「適格性評価ワークショップ」を2004年9月10日に共立薬科大学で開催致されました。多くの関係者の方々による討論を通じて適正な「適格性評価」のあり方を目指したいと考えております。
回答:GMP委員会
1.1 米国だけなぜGMPにcGMPとcがつくのでしょうか
A:
c(大文字でも小文字でもよい)は、「Current 」の略です。日本語では、「現行の」と言う意味になります。「c」を付している理由は、GMPは常に科学技術の進歩等に応じて更新させる必要があり、GMPが求めるものが陳腐化しないという意思表示であるといえるでしょう。
日本をはじめ他の国のGMPには、「c」はついておりませんが、各国の行政当局も同じ考えを持っている筈で、必要に応じて改訂が行われていることがそれを表しています。
回答:GMP委員会
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