【特集】口腔内崩壊錠─添加剤─
トレハロースおよび結晶セルロースを使用した口腔内崩壊錠
大生 和博、吉田 直哉
要旨
 口腔内崩壊錠は、患者のコンプライアンスの向上、医療現場での利便性に寄与する剤形として国内外で広く開発されている。口腔内での崩壊性を重視する剤形の性質上、必ずしも十分な錠剤硬度を付与することができず、割れや摩損しやすいという課題がある。また、多くの口腔内崩壊錠が実用化されているが、特殊な設備を必要とするものも多く、一般的な設備で製造可能な口腔内崩壊錠が望まれている。本報では、一般的な攪拌造粒法により、硬度と口腔内崩壊時間のバランスに優れる口腔内崩壊錠用の処方検討を行った。医薬用途で用いられる糖質の中でも、成形性の高いトレハロースと、結晶セルロースの高成形性グレードである「セオラス」KG-802とを用いることで、硬度と崩壊性のバランスに優れた口腔内崩壊錠が得られた。これらの高成形性の添加剤を用いることにより、低打圧で実用硬度が得られるようになり、その結果、錠剤厚みを厚くでき、唾液の浸透が促進されて崩壊が速くすることができる。また、トレハロースと「セオラス」KG-802の組合せにおいては、滑沢剤にステアリン酸マグネシウムを使用すると崩壊遅延を招いたが、タルクを使用することにより所望の崩壊性を付与することが可能であった。