【特集】固体分散体
加熱溶融押出法によるHPMCAS固体分散体の検討
丹野 史枝
要旨
加熱溶融押出(HME)法による固体分散体の基礎検討の目的で、キャピラリーレオメータを用いた固体分散体の調製を行った。薬物とキャリヤの処方には、ニフェジピン(NP)と、セルロース誘導体の中で熱軟化点の低いヒプロメロースアセテートサクシネート(HPMCAS)を選定した。薬物:キャリヤ(NP:HPMCAS)の添加比率、加熱溶融時の処理温度を変えて調製した押出物について、薬物の結晶性、溶出改善性について評価を行った結果、NP:HPMCAS=1:2以上のキャリヤの添加比率、加熱溶融温度が160℃以上の処理条件において、薬物は非晶化し、高い溶出改善効果を有する固体分散体が得られることが確認された。また、NP:HPMCAS=1:2の添加比率において、スプレードライ法とHME法により調製された固体分散体の薬物溶出改善性を比較したところ、見掛けの溶解度は同等で、かつHME法の方が過飽和状態の維持に優れることが確認できた。