技術解説(1)
電子線滅菌バリデーションの特徴と実際
山 瀬   豊

<要旨>

 前回本誌 Vol.14 No.2(2005)の『医薬品等への電子線滅菌の利用現状と今後の展望』で電子線滅菌の特徴とともに既に無菌製剤容器や滅菌医療機器などで実用化されている事例等を紹介した。今回は電子線滅菌のバリデーションに焦点を絞りその特徴、実際を紹介する。特に最終滅菌の『無菌性保証』では『滅菌バリデーション』が十分でかつ『パラメトリックリリース(照射滅菌の場合はドジメトリックリリース)』を行うことが望まれるが現状は照射滅菌以外の滅菌法ではパラメトリックリリースは滅菌パラメーターが複数あることやその挙動を被滅菌物内まで把握するのが難しいことなどあり実際に運用されている例はほとんど聞かない。しかし、この電子線滅菌の場合は滅菌のパラメーターが実質線量(Dose)だけでありその挙動が被滅菌物内まで詳細に把握、関連付けられるため特に滅菌線量設定や線量分布などの滅菌バリデーションは実施し易い。従って『ドジメトリックリリース』が実際に採用されている。以下に電子線滅菌の滅菌バリデーションの特徴と実際の事例などについて紹介する。