取り巻く話題[2] |
医薬品等への電子線滅菌の利用現状と今後の展望 |
山瀬 豊 |
(要旨) 近年、国内の医薬品・医療機器(旧医療用具)における滅菌関連の規格・基準等は国際的な動向を踏まえ大きく変化してきた。特に「滅菌バリデーション(滅菌の科学的妥当性検証)」「無菌性保証」「パラメトリックリリース/ドジメトリックリリース」など滅菌に関する新しい考え方が導入された。また、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌の各種規制が強化されその使用管理が大変難しくなってきた。 このような背景の中今回紹介する「電子線滅菌」は前述の滅菌バリデーションや無菌性保証などの対応も比較的容易にできることや、低温下でコスト、及びスピードなども優れることからEOG滅菌法の代替としても注目されている。最近では日本薬局方、薬事行政通知、ISO滅菌バリデーションにも電子線滅菌が明文化され医薬品包装容器、滅菌医療機器、各種試験器材などの滅菌方法として活発に使用されるようになってきた。(図1参照)今後はさらに医薬品、生薬、化粧品そのものの滅菌、ウィルスの不活性化などや電子線照射による素材改質(架橋・重合・低分子化)などの利用にも期待されている。そこで今回はこの電子線滅菌の実用化の経緯と照射事例、電子線滅菌の概要と滅菌関連規格・基準とのかかわり並びに今後の利用展望について弊社の電子線照射センターでの事例を中心に紹介する。 |