半固形製剤特集
スケールアップ技術と工業化について
榎本 康孝


要旨
例えば、半固形製剤の一つであるエマルション製品を製造するとき、化学的な知見から最適な処方を検討し、さらに外部から撹拌という機械的エネルギーを付与しなければならない。したがって、エマルション製品を工業化するためには、処方開発に加えて、その製造に適した撹拌機を選定し、まずは研究室規模でサンプルの調製条件を決定することが重要になる。次に、サンプルの調製条件に基づき、工場における製品製造を成功させなければならない。本稿では、今日まで明らかになっている様々な知見から撹拌の役割について整理し、エマルション製品の調製時に必要となる吐出作用と微細化作用を紹介した。さらに、高速撹拌機と低速撹拌機を併せ持つ乳化撹拌装置を使用することの重要性について述べ、当社が考えるホモミキサーによる乳化モデルに基づき、工場における製造条件を決定するために必要なスケールアップの基礎的な考え方を解説した。