【特集】固体分散体 |
難水溶性薬物の製剤化技術と開発戦略 |
川上 亘作 |
要旨 難水溶性薬物のための製剤化技術は古くから様々なものが考案されているが、可溶化製剤、固体分散体、ナノ分散製剤は経口吸収性を劇的に改善する能力を有しており、また実用化も確実に進んでいる。可溶化製剤、とくにその中でも自己乳化型製剤は、開発自体は比較的容易である一方で、製剤体積が大きくなることが多い。固体分散体やナノ分散製剤は、短期間で物理安定性を担保することが容易ではないものの、患者にとって利便性に優れた製剤が設計できる可能性が高い。従って近年は、まず自己乳化型製剤として開発された製剤が、固体分散体やナノ分散製剤に置き換えられるような事例も見られるようになってきた。各々の製剤はそれぞれ特徴を有しているため、実際の開発にあたっては、それらを適切に把握したうえでの選択が求められる。 |