技術論文
アミノアルキルメタクリレートコポリマーEの
流動層コーティングによるアセトアミノフェンの苦味マスキング
深水 啓朗、Markus RUDOLPH、Brigitte SKALSKY、伴野 和夫
(要旨)
 医薬品の苦味マスキングを行う目的で,アクリルポリマー(Eudragit)のフィルムコーティングを試みた。モデル薬物としてアセトアミノフェンの特殊顆粒(粒子径0.2〜0.6 mm)を用い,流動層造粒によって数種類のポリマーを噴霧コーティングした。その結果,Eudragit E POにステアリン酸マグネシウムを添加した処方が最も有効であり,コーティング工程は凝集やノズル詰まりもなく順調に進行した。得られたコーティング顆粒について官能試験を行った結果,アセトアミノフェンの苦味は噴霧コーティングにより十分に抑制された。コーティング顆粒の溶出プロファイルについても試験したところ,USP 27に記載されているアセトアミノフェン錠の規格(pH5.8,80%以上,30分)に適合していた。この顆粒を圧縮して得られた錠剤は速やかに崩壊し,もとのコーティングした顆粒と同様な溶出プロファイルを示した。