技術研究論文
応力緩和試験による圧縮成形過程の塑性変形挙動の解析
藤森 順也、山村 重雄、吉橋 泰生、寺田 勝英
東邦大学 薬学部
(要旨和訳)
 本研究の目的は錠剤の圧縮過程における塑性変形の速度と塑性変形量を評価し、圧縮過程の塑性変形とラミネーションによる打錠障害の関連性を考察することである。ラミネーションやキヤツピングを起こしやすいことで知られているアセトアミノフェンとフェナセチンとその粉砕物を試料として用いた。塑性変形速度は圧縮後の応力の減少から、応力緩和試験と同じように求めた。錠剤は100kg/m2間隔で100−2500kg/cm2の応力が発生するまで種々の圧力で圧縮した。塑性変形量は塑性変形速度をその応力が発生するまでに要した時間に対してプロットし、曲線下面積を求めることにより求めた。ラミネーションによる打錠障害の発生機構を検討するために、単位仕事量あたりの塑性変形量(ΔSR/ΔW)をパラメータとして用いた。ΔSR/ΔWの値は圧縮に要した仕事量の中で、圧縮に有効な不可逆的な塑性変形に用いられた仕事の割合を表すパラメータと考えられる。ΔSR/ΔWの値が一定の臨界値よりも小さくなると、すなわち、圧縮仕事が塑性変形仕事として利用されなくなると、錠剤はラミネーションによる打錠障害を起こすものと考えられた。このΔSR/ΔWの臨界値は試料によって粉砕時間によらず一定の値を示した。